著者: 根津八紘/沢見涼子
四六判並製: 320頁
出版社: はる書房(2009/11)(2011/3 表紙デザイン改)
ISBN978-4-89984-109-8
2008年4月、実母を“代理母”とした代理出産を望む1組の母娘が急きょ記者会見に臨んだ。日本学術会議が法務省と厚生労働省に提出した「代理出産原則禁止」という委員会報告書に対し、「国内での道を断たないでください」と訴えるためだった。そして母娘は代理出産への挑戦に踏み出す。
―2009年10月末現在、日本国内で実母を代理母とする代理出産に挑んだ家族は10組、すでに7人の子どもが誕生している。
なぜ、彼らは国内での「代理出産」を選んだのか、海外との違いはあるのか、産まれた子と依頼夫婦の関係はどうなるのか。
代理出産の実像に迫る。
<<目次>>
プロローグ 代理出産をもとめて
ある日の”同窓会”
おっぱい博士の挑戦
禁止する法律も、認める法律もない
▶第一話 母から娘へ伝えられた想い
それは記者会見から始まった
生後まもなく子宮摘出
悲しみの涙と喜びの涙
母になるということ
よく来てくれました
いまある幸せに感謝しつつ
▶第二話 だれにでも起こりうることなのだから
新婚一年目のがん宣告
二年待っての挑戦
受精卵の大移動
千羽鶴がコウノトリに
当事者になってこを分かる
思いは同じ
▶第三話 依頼夫婦と子どもをめぐる動き
制度の狭間でーー普通養子縁組と特別養子
ロキタンスキー症候群と分かって
裁判所との一年のやりとりを通じ
議論は学術会議に移って
果たして「子どもの福祉」とは
▶第四話 代理出産も不妊治療のひとつ
物議をかもした記者会見
不妊治療ゆえの苦しみ、葛藤も
子どもはできなかったけど幸せ、といえるために
エピローグ わたしたち家族と代理出産
代理出産ーー私の挑戦
代理出産のきっかけ
減胎手術から始まった戦い
十三年間の実践
私が対峙してきた理由
原点に立ち返って
コラム:高齢不妊と代理出産/生殖医療をめぐる各国の法制度/養子制度〜日本と海外では
あとがき
巻末資料… 代理出産ガイドライン/生殖医療の歴史
代理出産で生まれた子どもたちは、本当に命がけで求められ誕生した子どもたちです。
……この問題を自分たちの問題とし、それも外国に委ねることなく自国の中で前向きに解決すべきこととして、多くの人たちがこの本を通じて考えてくだされば幸いです。
(「代理出産ーー私の挑戦」より)